Unreal Engine 5 で開発された『マーベル・ライバルズ』は、優れたモデリングとグラフィックにより、マーベルヒーローズの世界観を見事に再現しています。しかし、その代償として非常に高いマシンスペックを要求されます。そのため、ゲームを快適にプレイするにはグラフィック設定の最適化が不可欠です。
この記事では、ベンチマークに基づいて『マーベル・ライバルズ』に最適なグラフィック設定について解説します。各種設定の役割、画像比較を交えながら、最適な推奨設定をご紹介します。
動作環境
最小スペック | 推奨スペック | |
---|---|---|
オペレーティングシステム | Windows 10 64-bit (1909以降) | Windows 10 64-bit (1909以降) |
プロセッサー | Intel Core i5-6600K or AMD Ryzen 5 1600X | Intel Core i5-10400 or AMD Ryzen 5 5600X |
メモリ | 16GB RAM | 16GB RAM |
グラフィックカード | NVIDIA GeForce GTX 1060 / AMD RX 580 / Intel Arc A380 | NVIDIA GeForce RTX 2060 (Super) / AMD RX 5700-XT / Intel Arc A750 |
DirectX | Version 12 | Version 12 |
ネットワーク | ブロードバンドインターネット接続 | ブロードバンドインターネット接続 |
ストレージ | 70GBの空き容量 | 70GBの空き容量 |
推奨設定
設定 | 推奨 |
---|---|
対象モニター | メインモニター |
表示モード | フルスクリーン |
表示比率 | 16:9 |
解像度 | ディスプレイに合わせる |
アンチエイリアスと超解像度タイプ | DLSS(NVIDIA)/ FSR(AMD) |
超解像度モード | バランス |
超解像度シャープネス | 好み |
フレーム生成モード | オフ |
低遅延モード | NVIDIA Reflex 低遅延 |
ゲーム画面の明るさ | 50 |
フレームレート制限 | オフ |
フレームレート表示 | オン |
ネットワーク状況 | オン |
垂直同期 | オフ |
言語モード | 日本語 |
設定 | 推奨 |
---|---|
GIクオリティ | オフ |
反射クオリティ | スクリーンスペース反射 |
モデル詳細 | パフォーマンス |
後処理クオリティ | 低 |
シャドウ詳細 | 低 |
テクスチャ | 使用しているGPUに合わせる |
VFX詳細 | 低 |
植生クオリティ | 低 |
ディスプレイ設定
ディスプレイ設定は重要な設定のみ解説します。それ以外の項目は推奨設定をご覧ください。
アンチエイリアスと超解像度タイプ
超解像度モードは、AIを使用したアップスケーリング機能です。
この設定を有効にすることでフレームレートが大幅に向上します。超解像度は互換性があるため、どれを使用してもかまいません。また、性能に大差はないため好みで選択してください。ただし、品質を下げるとぼやけが強調されるので注意してください。
アンチエイリアスとシャープネスは、どちらも好みで大丈夫です。
設定 | NVIDIA 互換性 | AMD 互換性 |
---|---|---|
TAAU | すべてのNVIDIA GPU(DirectX 11以上対応) | すべてのAMD GPU(DirectX 11以上対応) |
NVIDIA DLSS | RTXシリーズ(RTX 20シリーズ以降、Tensorコア必須) | 非対応 |
EPIC TSR | すべてのNVIDIA GPU(DirectX 11/12、Vulkan対応) | すべてのAMD GPU(DirectX 11/12、Vulkan対応) |
AMD FSR | NVIDIA GPU(GTX 10シリーズ以降、DirectX 11対応) | Radeon RX 400シリーズ以降 |
Intel Xess | NVIDIA GPU(GTX 10シリーズ以降、DP4a対応) | Radeon RX 5000シリーズ以降(DP4a対応) |
フレーム生成
フレーム生成は、AIを使用してフレームを生成する機能です。
レンダリングされたフレームを基にAIが「疑似フレーム」を生成します。これをフレームの中間に挿入することで、フレームレートを約2倍に増やします。しかし、あくまでAI生成による「それっぽいフレーム」であり、実際のフレームではありません。
そのため、映像が不安定になる可能性があります。また、入力遅延が発生します。この設定は「オフ」にすることを強く推奨します。
設定 | 推奨 |
---|---|
オフ | ◎ |
AMD FS3 フレーム生成 | – |
低遅延モード
低遅延モードは、NVIDIAによるシステム遅延を削減する機能です。
NVIDIA GPUを使用している場合のみ選択できます。システム遅延を平均で50%削減できるので「有効」にしてください。
設定 | 推奨 |
---|---|
オフ | – |
NVIDIA reflex 低遅延 | ◎ |
垂直同期
垂直同期は、ゲームのフレームレートとモニターのリフレッシュレートを同期する機能です。
テアリングを防ぐことができますが、遅延とスタッタリングが発生する可能性があります。この設定は「オフ」を推奨します。
設定 | 推奨 |
---|---|
オフ | ◎ |
オン | – |
グラフィック設定
グラフィック設定の各設定の概要とベンチマークに基づいた推奨設定をご紹介します。
測定条件
- マップ:ランダム
- 測定場所:グラフィック設定が反映されている場所
- フレームレート:3マップの平均値
テスト環境
- CPU:11th Gen Intel Core i7-11700 @ 2.50 GHz
- RAM:16GB
- GPU:NVIDIA GeForce RTX 3060
※ベンチマークテストの結果は使用環境や測定条件によって異なる場合があります。あくまで参考値としてご利用ください。
GIクオリティ
グローバルイルミネーションは、光の相互反射を再現する機能です。光の表現がよりリアルになり、ゲームの世界観が向上します。
この設定は総じて負荷が高いため「オフ」を推奨します。もし、グラフィックを向上させたい場合は「SSGI」を使用してください。「Lumen GI」はUE5で導入された最新のエフェクトですが、負荷が高すぎるため使用しないでください。
設定 | FPS | 減少率 | 推奨 |
---|---|---|---|
オフ | 90 | – | ◎ |
SSGI | 82 | -9% | ◯ |
Lumen GI – 高品質 | 71 | -21% | – |
Lumen GI – 最高品質 | 58 | -35.5% | – |
反射クオリティ
反射クオリティは、光の鏡面反射を再現する機能です。水面や金属など、光沢のある表面に周囲の景色を映し出します。
この設定はいずれもFPSの低下はわずかです。特に「スクリーンスペース反射」は「オフ」と比較して誤差の範囲であるため、グラフィックを向上させたい場合におすすめです。
設定 | FPS | 減少率 | 推奨 |
---|---|---|---|
オフ | 60 | – | ◎ |
スクリーンスペース反射 | 59 | -1.5% | ◎ |
Lumen 反射 | 58 | -3% | – |
モデル詳細
モデル詳細は、マップ内にある装飾や小道具などオブジェクトの表示量を調整します。
オブジェクトの表示量が増えると視認性が悪くなります。特に戦闘中は邪魔になるため設定を下げてください。「パフォーマンス」は、9割近くのオブジェクトが非表示になりマップがクリーンになるためおすすめです。
※この設定は変更後に再起動をすると反映されます。
設定 | FPS | 減少率 | 推奨 |
---|---|---|---|
パフォーマンス | 66 | – | ◎ |
低 | 64 | -3% | – |
高 | 63 | -4.5% | – |
最高 | 63 | -4.5% | – |
後処理クオリティ
後処理クオリティは、ゲーム内の雰囲気を向上させるためのエフェクトの度合いを調整します。主に照明や火花にブルーム(発光表現)、画面全体に色収差のエフェクトが追加されます。
照明に発光表現が追加されるため、夜間マップの見た目が良くなります。その他のエフェクトはアクセント的に使用されており変化に乏しいです。この設定は「低」を推奨します。
設定 | FPS | 減少率 | 推奨 |
---|---|---|---|
低 | 64 | – | ◎ |
中 | 64 | 0% | – |
高 | 63 | -1.5% | – |
最高 | 63 | -1.5% | – |
シャドウ詳細
シャドウ詳細は、マップ内のオブジェクトやキャラクターなど影の詳細度を調整します。
すべての設定値で影の詳細度に影響しますが、「低」のみキャラクターの影が非表示になります。敵のハイド対策で影が役立つ場合もあるため、必要な場合は「中」を設定してください。
設定 | FPS | 減少率 | 推奨 |
---|---|---|---|
低 | 68 | – | ◎ |
中 | 66 | -3% | ◯ |
高 | 65 | -4.5% | – |
最高 | 61 | -10% | – |
テクスチャ
テクスチャは、ゲーム内に表示されるテクスチャの品質を調整します。
マーベル・ライバルズは、テクスチャストリーミング(テクスチャを動的に読み込む仕組み)によってテクスチャを表示します。VRAM容量を監視して、可能な範囲内で高画質テクスチャと低画質テクスチャの切り替えが行われます。
この設定はフレームレートに影響を与えないため適切に設定してください。推奨スペック以上のGPUの場合は「高」、推奨スペック以下のGPUの場合は「中」または「低」を推奨します。
設定 | FPS | 減少率 | 推奨 |
---|---|---|---|
低 | 64 | – | – |
中 | 64 | 0% | – |
高 | 64 | 0% | – |
最高 | 64 | 0% | – |
VFX詳細
VFX詳細は、ゲーム内の視覚効果の度合いを調整します。キャラクターのスキル・アルティメット、マップ内の煙や火花、舞い落ちる葉などの見た目に影響します。
キャラクターエフェクトの負荷は高く、アルティメットが発動するとフレームレートは5〜10%の低下を示します。複数のキャラクターが同時にアルティメットを発動した場合、20〜30%の低下を考慮してください。
設定を上げることでマップ内のエフェクトが向上しますが、戦闘中はキャラクターのエフェクトだらけになります。この設定は最小限にすることで、視認性が向上します。
※ドクター・ストレンジがポータルを発動するとフレームレートが半減します。
設定 | FPS | 減少率 | 推奨 |
---|---|---|---|
低 | 70 | – | ◎ |
中 | 68 | -3% | – |
高 | 67 | -4% | – |
最高 | 65 | -7% | – |
植生クオリティ
植生クオリティは、道や花壇に生える草や花の表示量を調整します。マップにリアリティを追加できる以外に利点がないため「低」を推奨します。
設定 | FPS | 減少率 | 推奨 |
---|---|---|---|
低 | 58 | – | ◎ |
中 | 57 | -2% | – |
高 | 57 | -2% | – |
最高 | 56 | -3.5% | – |
最適化後の結果
最適化後の結果、フレームレートを最高設定から50〜60%向上することができました。
設定 | FPS | 減少率 | 推奨 |
---|---|---|---|
最高設定 | 62 | -55% | |
最適化設定 | 137 | – | ◎ |
最適化 + 超解像度
最適化に加えて、超解像度を有効にすることでフレームレートをより向上できます。NVIDIA DLSSを使用したベンチマークでは、1.5倍前後の向上を示しました。
注意点としては設定を下げるごとに画面のぼやけが強くなります。フレームレートとグラフィックを確認しながら調整してください。最もおすすめなのは「バランス」です。
設定 | FPS | 減少率 | 推奨 |
---|---|---|---|
NVIDIA DLLS ネイティブ | 121 | -44% | – |
NVIDIA DLLS ウルトラクオリティ | 162 | -26% | – |
NVIDIA DLLS クオリティ | 179 | -18% | ◯ |
NVIDIA DLLS バランス | 193 | -11.5% | ◎ |
NVIDIA DLLS パフォーマンス | 206 | -5.5% | ◯ |
NVIDIA DLLS ウルトラパフォーマンス | 218 | – | – |
結論
マーベル・ライバルズは非常に負荷の高いゲームです。ユーザーファーストな設計ではないため、PCの性能にかかわらず、グラフィック設定の最適化はかならず行ってください。
このガイドの推奨設定に従うことで、ゲームのパフォーマンスを維持しながらフレームレートを最大で70%向上させることが可能です。ただし、ベンチマークは非戦闘時の数値です。本作はキャラクターエフェクトの負荷が高いため、戦闘時のフレームレートは10〜20%程度下がることを考慮してください。
リリースされて間もないため、今後のアップデートでよりパフォーマンスが改善されることを期待しましょう。それでは、ゲームを楽しんでください。